犬のノミアレルギー性皮膚炎を丁寧に解説

この記事では、犬のノミアレルギー性皮膚炎について原因、症状、診断そして治療を、現役獣医師が解説しています。

対象読者
  • 動物病院でノミアレルギー性皮膚炎と診断されたor疑われている犬の飼い主
  • 長期間皮膚の痒みがみられる犬の飼い主
  • 犬のノミアレルギー性皮膚炎について知りたい獣医学生や動物看護師

最後まで読むだけで、ノミアレルギー性皮膚炎について誰にでもすぐに理解できるように作成しているので、是非一度目を通していただけると嬉しいです。

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ノミアレルギー性皮膚炎とは

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの感染に伴うアレルギー性皮膚炎です。

ノミが原因で起こる犬の病気は、ノミ刺症ノミアレルギー皮膚炎の二つがあります。

ノミ刺症

ノミ刺症は、ノミの刺咬による直接的な皮膚の痒みです。症状や痒みの特徴は、以下のとおりです。

  • 症状
    刺咬部に限局した痒みと赤いポツポツ
  • 痒みの特徴
    皮膚に寄生しているノミの数に比例して痒みの程度が強くなる

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが吸血した際に犬の皮膚内に入る唾液に対するアレルギー反応による皮膚の痒みです。症状や痒みの特徴は、以下のとおりです。

  • 症状
    広範囲の痒みと皮膚症状
  • 痒みの特徴
    皮膚に寄生しているノミの数が少数でも痒みの程度が強い

ノミアレルギー性皮膚炎は、5歳以上の中年齢で多くみられます。

症状に、季節性がみられる場合があります。これは、ノミアレルギー性皮膚炎はノミの存在と関連するため、夏から晩秋に多く発症する傾向があります。

ノミアレルギー性皮膚炎の原因

犬でも猫でも寄生しているノミは、ほとんどがネコノミ(Ctenocephalides felis)です。犬の92%以上猫の97%以上が、ネコノミ感染です。

なお、イヌノミも存在します。イヌノミもネコノミも症状には違いがないようです。

ネコノミの特徴は以下のとおりです。

  • 犬に寄生して5分で吸血24時間後には産卵する
  • 卵から成虫になるまでの期間(ライフサイクル)は21日
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ノミアレルギー性皮膚炎の症状

ノミアレルギー性皮膚炎では、腰や後ろ足付近で皮膚に強い痒みが生じるのが典型的な症状です。

皮膚病変は、強い痒みに伴い皮膚を掻き壊すことでみられます。つまり、かさぶたが作られて、その結果として脱毛もみられます。

ノミアレルギー性皮膚炎の診断

ノミアレルギー性皮膚炎は、次の場合に疑われます。

  • 定期的なノミ予防を行なっていない犬
  • 屋外飼育の犬
  • 散歩などで他の動物と接触する機会がある犬
  • 多頭飼育の犬

ノミアレルギー性皮膚炎の診断は、ノミの検出アレルゲン特異的血清IgE検査で行います。

ノミの検出

ノミの検出には、ノミの成虫を検出する方法ノミの糞を検出する方法があります。

ノミの成虫を検出する場合は、ノミ取り櫛を用いて全身の毛をくまなく梳いてノミ成虫を検出します。しかし、この方法は検出率が低いです。それは、ノミアレルギー性皮膚炎の場合、ノミの寄生数が少ないためです。

ノミの糞を検出する場合は、ノミ取り櫛を用いて全身の毛をくまなく梳いて、毛の中に砂のような黒色の物質を探します。ノミの糞は黒色でコンマ状の形をしており、水に溶ける性質があります。そこでそれらを、ティッシュなどの上に乗せて水を垂らしておいて、赤く滲んできたらノミの糞だと判断します。

アレルゲン特異的血清IgE検査(アレルギー検査)

アレルゲン特異的血清IgE検査は、ノミアレルギー性皮膚炎を直接的に診断できる検査ではありません。その結果は、次のように解釈します。

  • ノミの唾液に強陽性を示した場合
    ノミに寄生された可能性が高い
    ノミアレルギー性皮膚炎の裏付けとなる
  • ノミの唾液に弱陽性〜陰性を示した場合
    ノミに寄生された可能性が低い
    ノミアレルギー性皮膚炎を除外する

ノミアレルギー性皮膚炎に似た皮膚症状がみられるものとして、以下の病気があります。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療

ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、ノミの駆除環境対策です。

ノミ・マダニの駆除

ノミ・マダニの駆除薬を犬に投与します。ノミ・マダニの駆除薬には、①背中に滴下するスポットタイプと、②食べさせる経口タイプがあります。

両者の違いとして投与方法以外に、スポットタイプは約24時間で効果を発揮するのに対し、経口タイプはそれよりも即効性があるとされています。

また、従来はフィラリア予防とノミ・マダニ予防は別々で行われていました。しかし近年は、ひとつで両方の予防が可能な製品も販売されるようになりました。

重要なこととして、もし同居の犬や猫そしてウサギがいる場合は、同時にノミの駆除薬を投与する必要があるので注意しましょう。

スポットタイプ

犬の背中に滴下するノミ・マダニの駆除薬です。

  • 成分名:フィプロニル
  • 商品名:フロントライン、フィプロスポット、マイフリーガード
  • 成分名:イミダクロプリド
  • 商品名:フォートレオン、アドボケート(フィラリア予防も可)
  • 成分名:セラメクチン
  • 商品名:レボリューション(フィラリア予防も可)

経口タイプ

犬に食べさせるノミ・マダニの駆除薬です。

  • 成分名:フルララネル
  • 商品名:ブラベクト
  • 成分名:アフォキソラネル
  • 商品名:ネクスガード、ネクスガードスペクトラ(フィラリア予防も可)
  • 成分名:スピノサド
  • 商品名:コンフォティス、パノラミス(フィラリア予防も可)

環境対策

犬が生活していた環境の清掃を徹底します。

屋内の対策として、ノミは暗所を好むためベッドや棚などの隙間、毛の深い絨毯などは掃除機で吸引し清掃するようにしましょう。また、ピレスロイド系の殺虫スプレーを使用するのもひとつの方法です。目安として7〜10日毎に、2〜3回実施すると良いでしょう。

屋外の対策として、庭付きの家で生活している場合には、庭の土の掘り起こしも検討します。

また、草むらを避けたり他の動物との接触を避けるなど、散歩コースの設定にも配慮が必要です。

予後

予後は良好です。適切な治療を行えば、1〜2ヶ月で痒みなどの症状は良くなります。

もし改善がない場合は、他の症状が似ている病気の可能性を考える必要があります。

予防

上記のノミ駆除薬は、1ヶ月以上の予防効果がありますので、定期的なノミ予防を行うようにしましょう。

まとめ

犬のノミアレルギー性皮膚炎について解説しました。この病気は、ノミに寄生されるとノミの数が多い少ないに関わらず、強い痒みを出します。もし、愛犬の腰から後ろ足にかけて強い痒みの症状がある場合には、ノミアレルギー性皮膚炎の可能性がありますので、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

また、ノミの寄生はノミ・マダニの予防薬で防ぐことができます。必要な時期にはしっかりと予防することで、愛犬をノミの痒みから守ってあげましょう。