犬や猫への新型コロナウイルス感染に関して(2021年4月)


2019年12月に中国湖北省の省都である武漢で、原因不明の肺炎として診断された病気が、後に新型コロナウイルスによる物であることが判明しました。

2020年2月に世界保健機構は、このウイルス名をSARS-Cov-2とし、このウイルスにより引き起こされる病気をCoronavirus Disease 2019’(略称「COVID-19」)と命名しました。

そしてその後、中国や日本を含むそのほかの地域でも報告され、現在世界中で患者が爆発的に増加しました。そして2021年4月現在においても、ワクチン接種が開始されたものの、その収束は未だ見えていません。

そんな中、感染拡大初期には混乱があった、この新型コロナウイルスの犬や猫への感染について、情報がアップデートされたので、解説していきます。

※本稿は1年前に掲載した記事を、アップデートしたものです。

※この情報は2021年4月の筆者が知りうる情報であり、研究が進むにつれて変わって行く可能性があることをご了承ください。

コロナウイルスとは?

コロナウイルスはコロナウイルス科に属しており、さらにアルファ、ベータ、ガンマ、デルタに分類されます。アルファおよびベータコロナウイルスは哺乳類に感染し、ガンマおよびデルタコロナウイルスは通常鳥類や魚類に感染すると考えられています。

犬や猫の病気に詳しい人であればご存知かもしれませんが、犬や猫にもコロナウイルスによる病気があります。犬では軽度の下痢を起こす犬コロナウイルスが、猫では猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因となる猫コロナウイルスが存在します。これらはいずれもアルファコロナウイルスに属しています。

今回のSARS-Cov-2は、ベータコロナウイルスに属しており、この中には SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスや中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスが存在しています。

香港での人から犬への感染が疑われた事例(2020年3月)

2020年3月に、ヒトから犬への感染が疑われる事例が報告されました。犬は17歳のポメラニアンで、飼い主は60歳の女性でした。

その飼い主の女性は、2月に新型コロナへの感染が判明し、犬からもウイルスの弱陽性反応が検出されたため、香港政府が詳しく調べたところ、犬の体の一部にウイルスが付着したものではなく、低レベルの感染と確認したという事でした。その為、香港政府はヒトから伝染した可能性があると結論付けました。

このことに関して当初日本獣医師会は「犬にウイルスが感染し、犬の体内で増殖して排出されたと確認されてはいません。」とする見解を発表しておりましたが、香港政府の詳細な検査の結果を受け、「現時点では感染サイクルの主体は人ですが、感染した人と濃厚接触のあったペット動物への感染の可能性は否定できないと考えます。」とする見解を発表しました。

「ペットの犬に低レベルの新型コロナウイルス感染が見られた」とする香港政府の発表について 
2020年3月9日 公益財団法人 日本獣医師会 

人から犬や猫への感染への考え方(2021年4月現在)

新型コロナウイルスは、主に発症したヒトからヒトへの飛沫感染や接触感染により感染することが分かっています。

しかし上述の通り、新型コロナウイルスに感染した人から犬や猫が感染したと考えられる事例が数例報告されています。また、犬や猫以外に動物園のトラやライオンが飼育員から感染したと考えられる事例も存在します。

実験的に動物に新型コロナウイルスを感染させた場合に、感染が成立する動物は、モルモット、ミンク、猫、犬、猿、コウモリが、感染が成立しない動物は、マウス、豚、ニワトリとされています。

また、実際に起きたヒトから猫への感染事例として、2020年3~4月:香港、2020年3月:ベルギー、2020年4月:フランス、2020年4月:アメリカで確認されています。感染した猫の症状として、呼吸器症状があったとされる事例と無症状であったとされた事例が混在しています。

同様にヒトから犬への感染事例として、2020年2月:香港、2020年3月:香港、2020年7月:オランダ、2020年4月:アメリカ、2020年5月アメリカで確認されています。犬でも猫と同様に、呼吸器症状があった事例と無症状の事例が混在しています。

さらに感染する動物と感染しない動物の違いとして、現在ではACE2(アンジオテンシン変換酵素2)のアミノ酸の違いによるものではないかと、推測されています。

犬と猫の新型コロナウイルス感染に対する違い

上述の通り、動物種により感染する動物と感染しない動物が存在することが分かっています。

さらに犬と猫では、新型コロナウイルス感染に対する反応に違いがありそうです。

それは、犬では新型コロナウイルスに感染しても他の犬へ感染させることは無いが、猫では新型コロナウイルス感染に感染した猫が他の猫へ感染させることが示唆されていることです。これは実験で確かめられています。なお、同じゲージで飼育した他の猫に感染が成立したのですが、呼吸器症状などは無かったとされています。

動物からヒトへの感染は起こるのか?

現在のところ、犬や猫からヒトへの感染は起こらないと考えられています。

感染が報告されている、犬、猫、トラ、ライオンからヒトへの感染の報告は無いのですが、ミンクではその飼育農場でヒトへの感染が疑われる事例が存在しています。

絶対大丈夫とは言えませんが、今のところ犬や猫からのヒトへの感染は心配しなくて大丈夫そうです。

犬や猫とどう接すればいいか?

新型コロナウイルス感染症に限らず、動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触は控えるとともに、普段から動物に接触する前後で、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行うことが推奨されます。

特にペットの体調が悪い場合はできる限り不必要な接触を控えることが望ましいでしょう。

啓発資材:「近すぎず、適切な距離でおつきあい」

まとめ

今までのところ、ヒトから犬や猫への感染は報告されていますが、犬や猫からヒトでの新型コロナウイルス感染は報告されていません。また、ヒトから犬や猫への報告も、割合から考えれば極少数ですので、過度に恐る必要はないと思われます。

しかし、昨今人間同士が行っているような予防措置(マスク、手洗い、感染が疑われる人がお世話をしない)を、念のため行っておく必要はありそうです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
コメントの入力は終了しました。