愛犬のお口の匂いがだんだん気になっていませんか?3歳以上の犬の80%が歯周病予備群と言われています。歯周病になってしまったら、どうすればいいのかを解説していきます。
犬の歯周病とは
犬の歯の本数
犬の歯の本数は、乳歯と永久歯で以下のようになります。ただし、小型犬は欠如している歯(欠歯)もあり、42本より少ないこともあります。
乳歯(合計28本)
上顎:切歯6本、犬歯2本、臼歯6本
下顎:切歯6本、犬歯2本、臼歯6本
永久歯(合計42本)
上顎:切歯6本、犬歯2本、前臼歯8本、後臼歯4本
下顎:切歯6本、犬歯2本、前臼歯8本、後臼歯6本
歯の働き
切歯と前臼歯:物を捕える働き
犬歯:物を捕らえたり、引き裂く働き
後臼歯:物を磨り潰す働き
犬の歯周病
犬はわれわれ人と違って、虫歯になりはなりにくいのですが、その反面で歯周病になりやすいです。
歯肉だけが炎症を起こしたものを歯肉炎と呼び、歯槽骨、セメント質そして歯根膜にまで炎症が及んだものを歯周炎と呼びます。歯肉炎であれば、治療は可能ですが、歯周炎にまでなってしまうと正常な状態に戻すことは難しいです。そして、歯肉炎と歯周炎を総称して、歯周病と言います。
歯周病は、歯と歯肉の間にできた歯垢・歯石の中の歯周病菌が増えることで起こります。
症状
歯周病の症状としては、まず口臭がひどくなり次いで歯槽膿漏を起し、最終的には歯が抜けてしまいます。また場合によっては目の下に穴が空くことや、顎の骨が折れてしまうこともあります。3歳以上の犬の80%が歯周病予備群と言われています。
治療
歯周病の原因である歯石は、家ではとることができません。歯石除去をしなければなりませんが、基本的には全身麻酔が必要です。しかし、無麻酔での歯石取りを実施しているところもあります。それぞれの、メリットとデメリットをみていきましょう。
全身麻酔での歯石取り
メリット
- 歯周ポケットなど隅々までキレイにできる
- 抜歯が必要な場合にも対応できる
- 犬にとって恐怖がない
- ポリッシング(歯の研磨)もできる
デメリット
- 麻酔のリスク
- 費用が高い
無麻酔での歯石取り
メリット
- 麻酔のリスクがない
- 費用が安い
デメリット
- 歯周ポケットなどの細かいところはキレイにできない
- 大人しい犬しかできないし、犬に恐怖を与える可能性がある
- 抜歯やポリッシング(歯の研磨)ができない
口臭をよくする目的で歯石だけを除去するのであれば、無麻酔での歯石取りを考えてもいいかもしれません。しかし、歯周病治療も兼ねて歯石を除去するのであれば、麻酔下でのスケーリングが必須となってきます。スケーリングとは、スケーラーという機械を使って歯の表面のプラークや歯石などを機械的に除去することを言います。
スケーリングで麻酔をかける犬の中には、高齢の犬もいます。しかし、麻酔前に血液検査やレントゲンなどの術前検査を行えば、安全に実施できると思われます。
▼全身麻酔下でのスケーリングの治療前と治療後
スケーリングを行うことで、全ての歯がキレイになっているのがわかるかと思います。
まとめ
犬の歯周病について解説をしました。歯周病治療を考えた時には、麻酔をかけれる状況であれば全身麻酔下でのスケーリングをお勧めします。
また、普段からのデンタルケアを行い歯周病予防に努めることが大切です。そして、スケーリング後もデンタルケアを行わないと、歯石がついてしまい短期間のうちに再度歯周病になってしまいます。大人になってから急にデンタルケアを行うのは難しいので、子供うちからデンタルケアを実施して慣れさせておくといいでしょう。