犬のγ-GTP(GGT)の異常を丁寧に解説

動物病院で血液検査を行った際に、その結果を理解するための手助けとなるように記事を作成しました。愛犬の血液検査の結果を片手にご覧ください。

ただし、以下の点にご注意ください。

  • 正常値は、機械や検査会社ごとによって異なりますので、血液検査に記載されているデータを参照してください。
  • 検査結果が基準値(正常値)を外れている場合でも、病気とは限らないので、担当の獣医さんに良く話を聞くようにしましょう。
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γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)とは

γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP、γ-GT、GGT) は、ペプチドのN末端のグルタミン酸を他のペプチドまたはアミノ酸に転移する酵素であり、グルタチオンなどの生成に関与している酵素です。

グルタチオンは肝ミクロソームにおける薬物代謝などに重要な役割をもつため、γ-GTPは肝細胞に多量に含まれています。そのためγ-GTPは、幅広い肝・胆道系疾患で上昇し、特に胆汁うっ滞性疾患の場合に上昇します。

また、ある種の薬物(ジアゼパム、フェノバルビタールなど)により、γ-GTPはミクロソーム酵素としての誘導をうけるため、血中濃度は上昇します。

検査会社基準値
富士フィルムモノリス3~12 IU/I
アイデックス(成犬)0〜11 IU/I
▲各検査会社におけるγ-GTP(GGT)の基準値

γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)高値の原因

γ-GTPは肝細胞に多量に含まれるので、幅広い肝・胆道系疾患で上昇し、特に胆汁うっ滞性疾患の場合に上昇します。また、薬物性の肝障害でも上昇します。

そして、同じ肝・胆道系疾患の指標であるアルカリフォスファターゼ(ALP)と違い、骨疾患で上昇することはありません。

γ-GTP(GGT)高値の原因

胆汁うっ滞
急性/慢性肝炎
肝硬変
肝臓の腫瘍
薬物性肝障害(ジアゼパム、フェノバルビタールなど)

γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)低値の原因

臨床的な意義なし。

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まとめ

犬の血液検査のγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の異常について解説しました。

検査結果が正常値を外れている場合でも、必ずしも病気とは限りません。病気は、血液検査のみならず身体検査や他の検査も行って診断していきます。状況により、経過観察を行ったりさらに詳しい検査を行うことがあります。

通常γ-GTPは、他の肝酵素(AST,ALT,ALP)と一緒に評価していきます。そして異常があった場合には追加検査として、レントゲンや超音波検査などの画像検査を行い肝臓の精査を行うとともに、薬物性の肝障害を起こすお薬の投薬歴が無いかを確認します。

血液検査の結果で心配な事がある時には、動物病院で獣医さんに遠慮なく質問してみましょう。