犬の第三眼瞼外反を丁寧に解説

この記事では、犬の第三眼瞼外反(だいさんがんけんがいはん)について原因、症状、診断そして治療を、現役獣医師が解説しています。

対象読者
  • 動物病院で第三眼瞼外反と診断されたor疑われている犬の飼い主
  • 第三眼瞼の遊離縁が外反により浮き上がり、湾曲した状態の犬の飼い主
  • 犬の第三眼瞼外反について知りたい獣医学生や動物看護師

最後まで読むだけで、第三眼瞼腺外反について誰にでもすぐに理解できるように作成しているので、是非一度目を通していただけると嬉しいです。

スポンサーリンク

犬の第三眼瞼外反とは

犬の第三眼瞼外反とは、第三眼瞼の遊離縁が第三眼瞼軟骨の外反により浮き上がり湾曲した病気です。状態です。

この病気は多くが生後1年以内の大型犬種で発生し、特にグレード・デン、セントバーナード、ニューファンドランド、ジャーマンシェパード、ワイマラナー、レトリーバー系の品種において発生が多く、遺伝的な要因も指摘されています。また、第三眼瞼腺脱出や炎症による結膜表面の癒着、外傷や術後に発生する場合もあるとされています。

第三眼瞼と第三眼瞼腺とは

第三眼瞼は別名”瞬膜”と呼ばれ、眼瞼とは別に水平方向に動いて眼球を保護する働きがあります。そして、第三眼瞼腺は”瞬膜腺”とも呼ばれ、涙を産生する働きがあります。

▲犬の第三眼瞼

発生頻度

★★☆☆☆ めったにみない病気

発生頻度を5段階で評価。5:日常的にみられる病気 4:よくみられる病気 3:時々みられる病気 2:めったにみない病気 1:ほとんどみない病気

スポンサーリンク

第三眼瞼外反の症状

第三眼瞼外反では、第三眼瞼の遊離縁が第三眼瞼軟骨の外反により浮き上がり、湾曲した状態であり、遊離縁後方の結膜が露出し、充血しているのが特徴的です。第三眼瞼腺脱出(チェリーアイ)が長期間持続している犬においても、軟骨が外反している状態が多いとされています。

長期間経過した場合には、角膜炎や結膜炎流涙症などの続発症を伴うことがあります。湾曲が重度の場合には、第三眼瞼遊離縁の軟骨も捻れている場合があります。

第三眼瞼外反の診断

第三眼瞼外反の診断は、視診で容易に診断することが可能です。これは、症状が特徴的であるためです。

第三眼瞼外反の治療

第三眼瞼外反の治療は、外科療法です。また、併発疾患に対する内科療法があります。

外科療法

必要に応じて、外科療法を行います。手術では、第三眼瞼の湾曲した軟骨を切除します。

内科療法

第三眼瞼の露出により結膜炎を伴っている場合には、抗菌薬、グルココルチコイド(ステロイド)、およびヒアルロン酸の点眼薬を用いた治療を行います。

予後

第三眼瞼外反は、外科的な治療によりほぼ修復できると考えられています。第三眼瞼遊離縁の軟骨が捻れて固定されている場合にはほとんど改善しませんが、機能面では問題にならないと考えられています。

まとめ

犬の第三眼瞼外反について解説しました。生後1年以内の大型犬種で、第三眼瞼に異常が見られた場合にはこの病気を考慮する必要があります。

この病気であると診断された場合には、第三眼瞼の湾曲した軟骨を切除する、外科的治療の必要がありますが、この治療によりほぼ修復できると考えられています。