犬のショック(循環性ショック)

もし、愛犬が「ショック状態」と診断されたら、それはどんな事を意味するのでしょうか?日常で使う、単にびっくりした状態、急に衝撃を受けた状態という意味ではありません。

獣医さんの使う分かりにくい言葉の一つである、犬のショックについて解説します。

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ショックとは

ショックまたは循環性ショックとは主に、血圧が下がって、死にそうになることです。医学用語としての「ショック」は、単にびっくりした状態、急に衝撃を受けた状態、という意味ではない事に注意が必要です。また、末梢循環不全あるいは末梢循環障害などとも呼びます。

ショックとは
血圧が下がって、死にそうになること

ショックは、出血、重度の感染症(敗血症)、アナフィラキシー、不整脈など様々な原因により誘発される救急疾患であり、急激な循環不全に伴い全身に十分に酸素を送ることができない事に起因する、臓器機能障害です。

なぜショックに至ったのかを理解することが、基本的な治療への対応となります。

原因

いくつかの原因があり、血液量の減少によって生じる血液量減少性ショック(出血性ショック)、心臓の機能障害によって生じる心原性ショック、血管の過度の拡張によって生じる血液分布異常性ショックがあります。

出血、火傷、熱中症、重度の感染症(敗血症)、アナフィラキシー、不整脈

ショックの症状

人では、顔面蒼白 、虚脱 (きょだつ:極度の脱力状態)、冷汗 、脈拍触知せず 、呼吸不全 という症状が典型的とされています。

犬の場合には、急激な血圧低下を捉えることが重要であるとされ、急激な血圧低下とは、収縮期血圧が90mmHg未満あるいは基礎値より40mmHgを超える減少と考えられています。

しかし、血圧を正確に測定することが難しい場合もあり、簡易的に股動脈の触診などで判断することもあります。

また、視診や触診などを合わせて診断していきます。

ショックの診断と治療

診断

ショックの診断基準として前述の通り、収縮期血圧が90mmHg未満あるいは基礎値より40mmHgを超える減少という、急激な血圧低下を捉えることが重要です。

それに加え、①心拍数160回/分以上、②微弱な脈拍、③CRT(毛細血管再充満時間)の延長、④意識障害または不穏や興奮状態、⑤乏尿や無尿、⑥体温37.8℃以下または39.7℃以上のうち3項目以上の場合をショックと診断します。

診断のポイント
血圧低下+6項目中3項目以上該当する場合
CRT(毛細血管再充満時間)とは
指を1本使って、指の下の歯茎が白くなるまでしっかり押さえてから離し、色が戻るまでの時間を見ます。通常であれば、1~2秒以内に元に戻ります。

血液量減少性ショックが疑われる場合には、胸腔や腹腔内の出血の有無を確認し、心原性ショックが疑われる場合には、聴診、心電図検査および超音波検査を行い、心機能の評価を行います。

治療

ショックが疑われたなら酸素の供給を行います。また全身へ酸素を送るには、心臓の拍出量を増やすことが重要なので、心原性ショックを除いてショックに対しては、輸液を行います。

そして、血圧の上昇や頻脈の改善が認められない場合には、強心剤の投与を行ったり、アナフィラキシーショックではアドレナリンの投与を行うなど、病態に合わせた治療を行います。

予後

ショックは、生命に危険のある状態です。

まとめ

犬のショックについて解説しました。この言葉は、日常で使われる時と、医療で使われる時で大きく意味合いが違ってくるので注意が必要です。

言葉の意味が不正確な場合には、獣医さんにしっかりと話を聞いて確認するようにしましょう。

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