胃腸の病気

胃腸の病気

犬の急性嘔吐を丁寧に解説

6日以内の嘔吐を急性嘔吐と呼び、原因でもっとも一般的なのは、盗み食い、食べ過ぎ、いつもと違う食事などの不適切な食物の摂取と考えられています。嘔吐以外の症状がみられない軽症例では、胃や腸を休ませることが治療となることが多いです。元気消失、脱水、黄疸、発熱などの症状がみられる重症例では、血液検査、画像検査(レントゲンや超音波検査)、尿検査、糞便検査などが必要となります。
胃腸の病気

犬の慢性嘔吐を丁寧に解説

6日を超えて嘔吐が継続する場合を慢性嘔吐と呼びます。慢性嘔吐になりやすい犬種として、短頭種では幽門部狭窄症、エアデールテリアでは膵臓癌、そしてダックスフンドでは炎症性腸疾患(IBD)が多いことが知られています。診断では、あまりに早期から胃腸の病気だけを気にしすぎると、胃腸以外の原因を見逃してしまいますので注意が必要です。
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犬の炎症性腸疾患(IBD)を丁寧に解説

炎症性腸疾患とは、胃や小腸そして大腸などの消化管に炎症を起こす慢性疾患の総称で、慢性下痢の原因となる代表的な病気のひとつです。慢性の消化器症状として嘔吐、下痢、食欲不振、そして体重減少などがみられます。炎症性腸疾患と診断には、以下の5つのポイントに留意する必要があります。
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犬の急性膵炎を丁寧に解説

急性膵炎は、さまざまな原因で急激に膵臓に炎症が生じる病気です。急性の食欲不振や嘔吐そして腹部圧痛などが、急性膵炎の典型的な症状で、下痢を伴うこともあります。血液検査では炎症マーカー(CRP)の高値がみられ、超音波検査では急性膵炎に特徴的な所見を認めることがあります。追加検査として、犬膵特異的リパーゼ(Spec-cPL)を測定します。
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犬の膵外分泌不全を丁寧に解説

膵外分泌不全とは、膵臓からの消化酵素の分泌が低下し、消化不良になる病気で、食欲が増進するにも関わらず体重が減少するのが特徴的な症状です。また、「未消化の脂肪により白みを帯び、表面に光沢があり、匂いの強い便」というのが典型的な膵外分泌不全の便です。
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犬の抗菌薬反応性腸症を丁寧に解説

抗菌薬反応性腸症は、抗菌薬に反応し改善する下痢と定義されます。慢性下痢と体重減少がよくみられ、時に嘔吐もみられます。原発性の抗菌薬反応性腸症は、以下の診断基準が提唱されています。抗菌薬の投与によって速やかに症状が改善すること、抗菌薬の減量または中止により症状が再発すること、再発後、抗菌薬の再投与により再び改善すること。
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犬の食物アレルギー(胃腸性)を丁寧に解説

食物アレルギーは、食べ物に対して過敏に反応し、体に有害な症状が起きる病気で、食物過敏症とも呼ばれます。下痢や嘔吐が起きる消化器症状と痒みが起きる皮膚症状があります。食物アレルギーは、①他の慢性胃腸症状を示す疾患の除外と、②除去食試験で診断します。
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犬の胃拡張捻転症候群を丁寧に解説

胃拡張捻転症候群とは、胃が大きく拡張することや捻転することによって生じる病気で、胸の深い大型犬や超大型犬などに多くみられる傾向があります。急にぐったりとする、お腹周りが膨らむ、腹痛、ヨダレを垂らす、吐き気、内容物の出ない嘔吐が典型的な症状です。
胃腸の病気

犬のパルボウィルス感染症を丁寧に解説

犬パルボウイルスの感染によって起こる病気です。特に子犬では、重度の胃腸症状を起こし死亡する場合もあります。離乳期後の生後4~12週齢の移行抗体が低下する頃に、感染のピークを迎えます。その後、4ヶ月齢までは感染がしばしばみられます。パルボウイルス抗原検査キットが診断に有用です。
腫瘍

犬のガストリノーマを丁寧に解説

ガストリンというホルモンを過剰に分泌する腫瘍で、胃酸の分泌過剰に関連した症状を起こす病気で、主に膵臓や十二指腸でみられる腫瘍です。慢性嘔吐、元気や食欲の低下、体重減少、吐血、血便(黒色便)、粘膜蒼白、そして腹痛などの消化器症状がみられます。診断が困難な腫瘍のひとつであり、血液検査、レントゲンや超音波検査などの画像検査、内視鏡検査などを行い、総合的に判断していきます。
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犬のコクシジウム症を丁寧に解説

イソスポーラ属の寄生虫が腸管に感染し下痢を引き起こす病気です。イソスポーラ属の寄生虫は、小腸の細胞内で増殖し、その細胞を破壊するので、腸管粘膜の損傷が引き起こされます。特に、子犬は重症化する恐れがあります。下痢が主な症状で、急性の下痢の場合もあれば、間欠的または慢性の下痢となる場合もあります。
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犬の胆嚢粘液嚢腫を丁寧に解説

胆嚢粘液嚢腫は、粘液の非生理的な蓄積により胆嚢が拡張する病気です。症状が進行すると、胆嚢破裂を起こし内容物が腹腔内に流出します。これは、胆汁性腹膜炎と呼ばれる状態で、腹水が貯留します。超音波検査は、手術以外の方法で、唯一確定診断できる方法です。