犬のチョコレート中毒

犬に与えてはいけない物の代表といえば、玉ねぎ中毒が真っ先に挙がると思いますが、それと並んで有名なものにチョコレート中毒があります。

中毒でけいれんを起こし死亡することもある、犬のチョコレート中毒について解説します。

チョコレート中毒とは

チョコレート中毒は、チョコレートに含まれているテオブロミン、カフェインなどのメチルキサンチンの過剰摂取により生じる中毒で、急性の消化器症状、循環器症状、神経症状などがみられます。

チョコレートに含まれているメチルキサンチンの量は種類により異なりますが、少量でも中毒を起こし、けいれん発作などを起こし死に至る場合もあります。

一般に体重に対するチョコレートの量の問題から、小型犬の方が重篤となる場合が多いです。

チョコレート中毒
テオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチンの過剰摂取

原因

メチルキサンチンの作用は、ホスホジエステラーゼ阻害によるcAMPの蓄積、貯蔵カルシウムイオンの遊離による細胞内カルシウムイオンの増加、そしてアデノシン受容体遮断を起こし、中枢神経の興奮作用、平滑筋弛緩作用を示します。

なお、テオブロミンの犬のLD50(統計学的に半数(50%)を死亡させる量)は100~200mg/kgとされており、20mg/kgで軽度な症状を、60mg/kgで中枢性の痙攣を生じるとされています。

製品ごとのテオブロミンとカフェインのおよその含有量
ココアパウダー(25.9mg/g、1.4mg/g)、チョコレート焼き菓子(13.8mg/g、4.1mg/g)、ゼミスウィートチョコレート(4.8mg/g、0.7mg/g)、インスタントココアミックスパウダー(4.7mg/g、0.5mg/g)、ミルクチョコレート(1.9mg/g、0.2mg/g)、ホワイトチョコレート(0.008mg/g、0.029mg/g)

※(テオブロミンmg/g、カフェインmg/g)で記載

出典:「チョコレート中毒」クリニカルベテリナリーアドバイザー 2010. 監訳:長谷川篤彦 (株)インターズー 東京

なお、摂取したメチルキサンチンの量は、製品の摂取した量(g)をテオブロミン(mg/g)とカフェイン(mg/g)のそれぞれに掛け算をして、合計したものを犬の体重で割り算します。

「黒っぽいチョコレートはより危険」と覚えておくと便利です。

チョコレート中毒の症状

症状は、摂取したチョコレートの種類、量、時間により異なります。

摂取後1~2時間で落ち着きがなくなり、活動性の亢進や反射亢進が起こります。尿失禁や尿量の増加、そして摂取後2~4時間で嘔吐や下痢などの胃腸症状がみられます。

頻呼吸や頻脈そして高体温がみられ、重度の場合には硬直、筋肉の攣縮、間代性から強直性のけいれん発作が生じ、死に至ることもあります。

チョコレート中毒での死亡原因として、心臓不整脈、呼吸不全、高熱による播種性血管内凝固(DIC)が考えられます。

なお、テオブロミンの半減期は犬で17.5時間とされ、摂取後に血液中に3~4日程度成分が検出されるそうです。カフェインの半減期は、4.5時間とされています。

症状のポイント
落ち着きがなくなる、尿失禁や尿量増加、胃腸障害、不整脈、高体温、けいれん発作など

チョコレート中毒の診断と治療

診断

基本的には、飼い主からの稟告で判断します。そして、臨床症状がチョコレート中毒と一致していることを確認します。

診断のポイント
飼い主の稟告と臨床症状

治療

チョコレート中毒における有効な解毒剤は、存在しません。そのため、催吐処置、吸着剤(活性炭など)、抗けいれん薬、抗不整脈薬、輸液を用いて対症療法を行います。

摂取後2~4時間で発作が起こっていない状態であれば、催吐処置を行い、吸着剤の投与を併用します。場合によっては、胃洗浄を検討することもあります。

しかし、摂取後時間が経過している場合には、催吐処置や胃洗浄の効果は認められないとされており、吸着剤の投与のみを行います。

もし、痙攣が生じている場合には抗けいれん薬を投与し、不整脈を生じている場合には抗不整脈薬の投与を行います。

他の中毒と同様に、嘔吐による脱水や電解質補正のための輸液などの対症療法行います。

治療のポイント
催吐処置、吸着剤、輸液など

予後

2~4時間以内に催吐などの処置が行えた場合には、良好とされています。

しかし、犬では3~4日メチルキサンが血液中に検出される事から、この期間は注意が必要です。

まとめ

犬のチョコレート中毒について解説しました。チョコレート中毒は、多くの飼い主さんが認識していることが多いので間違えて与えてしまう場合よりも、圧倒的に盗み食いをされる場合が多いです。

チョコレートに限らず、普段から犬が届く範囲の物には気を付けるようにしましょう。

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