犬の脊髄の病気

犬には椎間板ヘルニアなど、脊髄に起因する病気が発生します。脊髄に起因する病気は、主に首や背中の痛みそして片側/両側の麻痺といった症状を呈しますが、これらの病気を理解していく上では脊椎(せきつい)、脊髄(せきずい)そして椎間板(ついかんばん)といった構造を理解しなければなりません。まず解剖学的な構造について解説し、そしてそれぞれの部位での病気の発生と診断のために実施する検査について解説をしていきます。

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脊椎、脊髄、椎間板の構造

脳と脊髄は中枢神経系と呼ばれ、それぞれ骨(頭蓋骨)と背骨(脊椎)で囲まれています。脳や脊髄は部位によって機能が特殊化されており、病気によって障害される部位や範囲によって症状が大きく異なります。また、脳や脊髄は再生が困難な器官のひとつであるため、病気の早期診断早期治療を要します。

背骨(脊椎)は、脊髄を取り囲みこれらを保護する働きを持ちます。犬の脊椎は頚部(頚椎)7個、胸部(胸椎)13個、腰部(腰椎)7個、骨盤と結合する仙椎3個、尻尾(尾椎)からなり、そのほとんどの脊椎骨の間に椎間板を有しています。椎間板の構造は、弾力のある線維が同心円を描いており、その中心部に髄核と呼ばれる物質が存在しています。

ちなみに、脊椎骨の動きにより椎間板に力が加わり、椎間板の線維が変形したり髄核が飛び出すことにより脊椎内にある脊髄を障害する病気が、椎間板ヘルニアという病気です。

「脊椎」は背骨、「脊髄」は太い神経そして「椎間板」は背骨の間のクッションと考えていただければ概ねよいと思います。

▼犬の胸椎〜腰椎のレントゲン写真。黄色が脊髄、水色が椎間板を示しています。

脊髄に起因する病気の原因

脊髄に病気が起きると、首や背中の痛みそして片側/両側の麻痺を生じます。このような病気を起こす原因を脊椎、脊髄そして椎間板の3つの部位に分けて考えると分かりやすいと思います。

また症状が急に悪化したのか、それとも徐々に悪化したのかによっても病気が推測できます。つまり急に悪化した時には、脊椎の骨折や脱臼、脊髄の梗塞や出血そして椎間板ヘルニアのハンセン1型が病気の原因の可能性として高いです。

脊椎の病気

骨折・脱臼、環椎軸椎不安定症、炎症(脊椎炎など)、脊椎腫瘍、代謝性変性(上皮小体機能亢進症など)、先天的異常(脊椎奇形)

脊髄の病気

脊髄梗塞(線維軟骨塞栓症など)や出血、炎症(髄膜脳脊髄炎など)、脊髄腫瘍、先天的異常(脊髄空洞症、変性性脊髄症、くも膜嚢胞など)

椎間板の病気

椎間板ヘルニア(ハンセン1型、ハンセン2型)、炎症(椎間板脊椎炎など)

脊髄の病気の診断

これらの病気は、画像での検査(画像診断)を行うことが中心になってきます。画像検査にはレントゲン検査、CT検査、MRI検査そして超音波検査の4つがありますが、脊髄の病気を診断する上では超音波検査の有用性は低いので、それ以外の3つの検査を選択して行うことになります。

レントゲン検査

麻酔が不要で簡単に検査できるメリットがあります。しかし、脊髄や椎間板の診断は困難であり、脊椎の診断が中心となります。従って、椎間板ヘルニアの診断をすることはできません。ただし、特殊な脊髄増影という方法を使うことによって圧迫病変を確認することができるようになりますが、そのためには麻酔が必要になります。

CT検査

CT検査も検査の原理はレントゲンと同様ですので、骨や石灰化病変の検出には優れていますが、脊髄や椎間板の診断は困難です。しかし、レントゲン検査と比べると立体的な画像が得られるメリットがあります。また、この検査には一般的に麻酔が必要です。

MRI検査

脊椎、脊髄、椎間板を含む全ての領域の診断が可能です。レントゲン検査やCT検査で観察不可能な病変も詳細に観察することができます。例えば椎間板ヘルニアでは、症状がほぼ同じ脊髄軟化症の存在を示唆することも可能です。従って、MRI検査は椎間板ヘルニアのみならず、首や背中の痛みの病気や片側/両側性麻痺を呈する全ての疾患に非常に有用な画像検査です。

しかし、MRIが設置されている施設が限られていることと、麻酔が必要でかつ費用が高額であり、場合によっては予約が必要になり、すぐに検査ができないというデメリットがあります。

まとめ

脊椎、脊髄そして椎間板の構造について解説し、それぞれの部位での病気や検査について解説しました。脊椎、脊髄そして椎間板という言葉は動物病院でよく使われる言葉ですが、飼い主さんには、実際分かりにくいものではないかと思います。また、レントゲン検査、CT検査そしてMRI検査も違いがイメージしにくいのではないかと思います。少しでも構造を理解し、検査の違いが分かっていただけたのであれば幸いです。

脊椎に起因する病気については、今後徐々に解説をしていければと思います。

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