犬の皮膚組織球腫

3歳以下で、比較的急に増大する境界明瞭な赤色のドーム状の病変が見られた場合にはどんな病気を考えますか。

組織球系の病気のひとつである、犬の皮膚組織球腫について解説します。

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皮膚組織球腫とは

組織球とは血管外の組織に存在する細胞で、遊走能や貪食能を持つ白血球の一種で、骨髄の血液幹細胞由来とされています。

犬の皮膚組織球腫は、犬の皮膚に生じる良性の腫瘍と認識されていることが多いですが、厳密には増殖している細胞は組織球の一種である「表皮ランゲルハンス細胞」であり、また腫瘍ではなく反応性増殖であることが示されました。

表皮ランゲルハンス細胞は、皮膚など外界と接する部位に存在しており、病源体などを認識して周囲の細胞に情報を伝えからだを守る免疫システムの重要な役割を担当しています。

なお同じ組織球系の病気として「反応性組織球症」がありますが、これは真皮内の「樹状細胞」という組織球の一種による病気であり、皮膚組織球腫と類似していますが、臨床的には異なる経過や予後となっています。

皮膚組織球腫
表皮のランゲルハンス細胞の反応性増殖

皮膚組織球腫の症状

典型的には、比較的急に増大する境界明瞭な赤色のドーム状の病変です。若齢の犬に好発するとされ、特に3歳以下での発症が多く、病変は頭部、耳、四肢でよく発生します。

この病気がよく見られる犬種として、ボクサー、ダックスフンド、コッカースパニエル、グレートデン、シェルティー、ブルテリアなどが挙げられます。

症状のポイント
比較的急に増大する境界明瞭な赤色のドーム状の病変で、3歳以下での発症が多い

皮膚組織球腫の診断と治療

診断

診断は、腫瘤(しゅりゅう:できもの)の特徴的な臨床像と、その裏付けとして針生検(細い針で細胞を取って顕微鏡で観察する検査)や皮膚生検(細胞診や皮膚の一部を切り取る検査)を行います。

診断のポイント
腫瘤の臨床像と針生検や皮膚生検

似たような病変を作る病気として、反応性組織球症、肉芽腫症、肥満細胞腫、皮膚リンパ腫があります。

治療

通常は、3ヶ月以内に自然に消失します。

治療のポイント
通常、3ヶ月以内に自然消退する

改善が見られない場合には、グルココルチコイド(ステロイド)による治療を行うことがあります。

まとめ

犬の皮膚組織球腫について解説しました。3歳以下で、比較的急に増大する境界明瞭な赤色のドーム状の病変が見られた場合には、この病気が疑われます。

通常3ヶ月以内に自然に消退しますが、改善がない場合は獣医さんとよく相談するようにしましょう。

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