犬のノミアレルギー性皮膚炎

ノミが原因で起こる犬の病気は「ノミ刺症」と「ノミアレルギー皮膚炎」の二つがあります。ノミ刺症はいわゆる虫刺されに相当するものですが、ノミアレルギー性皮膚炎はこれと何が違うのでしょうか?

愛犬に強い痒みを引き起こす、ノミアレルギー性皮膚炎について解説していきます。

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ノミアレルギー性皮膚炎とは

ノミが原因で起こる犬の病気は「ノミ刺症」と「ノミアレルギー皮膚炎」の二つがあります。ノミ刺症は、ノミの刺咬による直接的な皮膚の痒みであり、刺咬部に限局した痒みと赤いポツポツなどがみられます。一般的にノミ刺症は、皮膚に寄生しているノミの数に比例して痒みの程度が強くなっていきます。いわゆる「虫刺され」と思っていただければいいと思います。

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが吸血した際に動物の皮膚内に入る唾液に対してアレルギー応答が起こることにより、広範囲に痒みと皮膚症状が起きる病気です。皮膚に寄生しているノミの数が少数であっても、強い痒みの症状を出します。

ノミアレルギー性皮膚炎の原因

犬でも猫でも寄生しているのは「ネコノミ」で、犬の92%以上と猫の97%以上であると言われています。ちなみに「イヌノミ」も存在し、症状としてはイヌノミもネコノミと症状に違いがないとされています。

ノミは犬に寄生して5分で吸血、24時間後には産卵します。卵から成虫になるまでの期間(ライフサイクル)は21日であると言われています。

ノミアレルギー性皮膚炎の症状

ノミアレルギー性皮膚炎は、皮膚に強い痒みが生じます。それにより、皮膚を掻き壊して傷やかさぶたを作り、その結果として脱毛もみられます。この病変は、腰や後ろ足付近で見られる傾向があります。

ノミアレルギー性皮膚炎は、5歳以上の中年齢に好発します。そして、この症状には季節性があり、ノミの存在と関連するので夏から晩秋に好発する傾向があります。

ノミアレルギー性皮膚炎の診断

病歴として定期的なノミ予防を行なっていない犬や、屋外飼育の犬、散歩などで他の動物と接触する機会がある犬そして多頭飼育の犬に発症が多く見られる傾向があります。

ノミアレルギー性皮膚炎に似たような症状の病気として疥癬、食物アレルギーそしてアトピー性皮膚炎などがあります。

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ノミアレルギー性皮膚炎の検査には、ノミの検出とアレルギー検査の二つがあります。

ノミの検出

ノミ取り櫛を用いて全身の毛をくまなく梳いてノミ成虫やノミの糞の検出を試みます。ノミアレルギー性皮膚炎の場合は、寄生数が少ないことが多いためノミ成虫の検出率は低いです。ノミの糞は黒色でコンマ状の形をしており、水に溶ける性質があります。そこで、毛の中に砂のような黒色の物質がある場合には、それをティッシュなどの上に乗せて水を垂らしておいて、赤く滲んできたらノミの糞だと判断していきます。

アレルゲン特異的血清IgE検査(アレルギー検査)

ノミアレルギー性皮膚炎を直接的に診断できるものではありませんが、ノミの唾液に強陽性を示した場合、その犬がノミに寄生された可能性が高いと考えられます。しかし、弱陽性〜陰性であればノミに寄生された可能性が低いと考えます。

この検査で強陽性であればノミアレルギー性皮膚炎の裏付けとなり、弱陽性〜陰性であればノミアレルギー性皮膚炎を除外して考えていきます。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療

ノミの駆除

ノミの駆除薬を投与します。背中に滴下するスポットタイプと、食べさせる経口タイプがあります。スポットタイプは約24時間で効果を発揮するのに対し、経口タイプはそれよりも即効性があるとされています。また、従来はフィラリア予防とノミ・マダニ予防は別で行われていましたが、近年ひとつで両方の予防が可能な製品も販売されるようになりました。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、この病気にかかっている犬のみではなく、同居の犬や猫そしてウサギも同時に駆除薬を投与する必要があります。

スポットタイプ

成分名:フィプロニル

商品名:フロントライン、フィプロスポット、マイフリーガード

成分名:イミダクロプリド

商品名:フォートレオン、アドボケート(フィラリア予防も可)

成分名:セラメクチン

商品名:レボリューション(フィラリア予防も可)

経口タイプ

成分名:フルララネル

商品名:ブラベクト

関連記事新しいノミ・マダニ予防薬「ブラベクト錠」

成分名:アフォキソラネル

商品名:ネクスガード、ネクスガードスペクトラ(フィラリア予防も可)

成分名:スピノサド

商品名:コンフォティス、パノラミス(フィラリア予防も可)

環境対策

犬が生活する環境の清掃を徹底します。

屋内の対策として、ノミは暗所を好むためベッドや棚などの隙間、毛の深い絨毯などは掃除機で吸引し清掃するようにしましょう。また、ピレスロイド系の殺虫スプレーを使用するのもひとつの方法です。目安として7〜10日毎に、2〜3回実施すると良いでしょう。

屋外の対策として、庭付きの家で生活している場合には、庭の土の掘り起こしも検討します。

また、草むらを避けたり他の動物との接触を避けるなど、散歩コースの設定にも配慮が必要です。

予後

適切な治療がされた場合、1〜2ヶ月すると痒みや皮膚症状は良化することが多いです。

改善がなければ、他の症状が似ている病気(疥癬、食物アレルギーそしてアトピー性皮膚炎など)を考えていきましょう。

予防

上記のノミ駆除薬は1ヶ月以上の予防効果がありますので、定期的なノミ予防を行うようにしましょう。

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まとめ

犬のノミアレルギー性皮膚炎について解説しました。この病気は、ノミに寄生されるとノミの数が多い少ないに関わらず、強い痒みを出します。もし、愛犬の腰から後ろ足にかけて強い痒みの症状がある場合には、ノミアレルギー性皮膚炎の可能性がありますので、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

また、ノミの寄生はノミ・マダニの予防薬で防ぐことができます。必要な時期にはしっかりと予防することで、愛犬をノミの痒みから守ってあげましょう。

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