犬の水頭症

もし1歳以下の愛犬にてんかん発作がみられたら、どんな病気を考えれば良いのでしょうか?

1歳以下であれば「症候性てんかん」を考えていきます。症候性てんかんは、脳奇形(水頭症など)、脳炎(犬ジステンパーウイルスなど)、脳腫瘍(原発性/転移性)そして血管病変(脳梗塞、脳出血)などが原因で起こります。

犬にてんかん発作を起こす代表的な脳奇形である、「水頭症」について解説していきます。

水頭症とは

てんかんは、脳に器質的な異常が見つからないのに発作を繰り返す「特発性てんかん」と、脳の病気に伴なって発作が生じる「症候性てんかん」の2つに分類されます。

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症候性てんかんは、1歳未満と6歳以上に多く見られます。そして、症候性てんかんを引き起こす脳の病気として、脳奇形(水頭症など)、脳炎(犬ジステンパーウイルスなど)、脳腫瘍(原発性/転移性)そして血管病変(脳梗塞、脳出血)があります。

犬の脳奇形として水頭症、大脳皮質形成異常症、全前脳胞症、孔脳症、頭蓋内くも膜嚢胞、キアリ(Chiari)様奇形、後頭骨形成不全症候群(COMS)、ダンデイ・ウォーカー(Dandy-Walker)様奇形などが知られていますが、てんかん発作を伴う犬の代表的な脳奇形は水頭症です。

水頭症の原因

水頭症は「何らかの原因により脳脊髄液の産生、循環、吸収に異常が生じた結果、脳脊髄腔内に過剰な脳脊髄液貯留を伴い頭蓋内圧が亢進した病態」であると定義されています。

水頭症は、先天的な奇形として発症するものと、腫瘍や炎症に起因して脳脊髄液流路の障害を来たした結果生じるものがありますが、犬では先天的な水頭症が多く見られます。

水頭症の症状

水頭症は、チワワ、マルチーズ、ポメラニアンなどのトイ犬種、パグやペキニーズなどの短頭種に多く見られます。一般に数ヶ月齢から1歳未満に臨床兆候が現れます。

先天的な水頭症の例では、丸いドーム型の頭、泉門や骨縫合線の開存、外側斜視そして他の兄弟に比べ体が小さいなどの外貌に特徴がみられます。

水頭症の症状は、てんかん発作、意識状態の変調(ボーッとしている、傾眠などに加え、時にせん妄、パニックなど)、しつけ不可(知的行動の欠失あるいは遅れ)、行動異常、旋回や徘徊、頭位回旋そして対光反射のある失明などの脳障害の症状があります。

診断

神経学的検査を行うと、姿勢反応の低下や消失そして威嚇瞬目反応の低下や消失などの異常が認められます。臨床症状とレントゲンと超音波による画像検査で暫定的な診断をすることは可能ですが、確定診断にはMRI検査が望まれます。

水頭症に似た症状の病気として、肝性脳症、低血糖、ライソゾーム病や先天性代謝異常症及び犬ジステンパーウイルス性脳炎などがあります。

獣医療における水頭症の診断基準

水頭症の診断基準は以下の3つの条件を満たすものとされています。

  • 脳室拡大が認められる
  • 脳室拡大の原因となる脳炎や脳腫瘍などの病気が存在しない
  • 水頭症に起因する臨床症状、すなわち頭蓋内圧亢進による臨床症状が存在する

たとえMRIで脳室拡大があっても、てんかん発作などの臨床症状がない場合には水頭症とは診断されず、無症候性水頭症と呼ばれます。この無症候性水頭症は、チワワにみられることが多いですが、基本的には治療対象にはなりません。

水頭症の治療

水頭症の治療は内科的治療及び外科的治療があります。目的はいずれの治療も臨床症状の原因となる頭蓋内圧亢進に対する減圧療法がその基本となっています。

内科療法では、脳脊髄液の産生を抑え、脳内の圧力を低下させるお薬の内服を行います。また、重症例にはグリセリンやマンニトールの静脈点滴が行われます。

外科的治療は通常、脳室ー腹腔シャント術という手術が行われます。これは、脳室内に貯留した脳脊髄液を腹腔内へ流すためのチューブを設置するという手術になります。

脳脊髄液は産生され続けるため、水頭症の診断ならびに治療を早期に開始することが、脳へのダメージを最小限に抑えるために必要です。

また、水頭症で反復性のてんかん発作を起こしている場合には、抗てんかん薬療法も並行して実施する必要があります。水頭症におけるてんかん発作は、頭蓋内圧亢進から生じている可能性が高いですが、慢性的に発作が反復してる場合には抗てんかん薬による治療を継続的に行う必要があります。

まとめ

犬の代表的な脳奇形である、水頭症について解説しました。この病気は、てんかん発作を起こす原因の一つとしても知られています。

丸いドーム型の頭や外側斜視といった外貌やてんかん発作、知能や行動の異常、旋回運動や歩様の異常そして視覚障害などの症状が1歳以下でみられたら、水頭症の可能性が高いです。特に、チワワ、マルチーズ、ポメラニアンなどのトイ犬種、パグやペキニーズなどの短頭種では注意して観察するようにしましょう。診断ならびに治療を早期に開始することで、脳へのダメージを最小限に抑えることが可能になります。

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