犬の尿路結石(尿石症)

犬にも人と同じで、「尿路結石」が発生するってご存知ですか?

人では、約7000年前のエジプトのミイラからも膀胱結石がみられたりと歴史の古い病気ですが、その発生の原因は十分解明されていません。近年、日本で尿路結石の患者さんが増えており、「食の欧米化」との関連も指摘されています。

愛犬に、排尿痛、血尿、排尿困難などの排尿異常を起こす原因となる、犬の尿路結石について解説します。

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犬の尿路結石とは

尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道をまとめて尿路といいます。この尿路にできた結石が、尿路結石です。 結石が尿路に存在することにより、局所の尿路粘膜が物理的な刺激を受けて損傷したり、炎症や感染症を惹起したり、さらには結石自体が尿路の閉塞を起こすなどの病態が考えられます。

尿路とは
腎臓、尿管、膀胱、尿道のこと

結石がどこに存在するかによって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれますが、主として結石が形成され成長する部位は腎臓と膀胱であり、尿管結石は腎臓から、尿道結石は膀胱からそれぞれ尿の流れによって、結石が入り込んだ状態と考えられています。

尿路結石とは
尿路内にできた結石

結石の構成成分の80%以上はストルバイトとシュウ酸カルシウムのどちらかであり、両者の比率はほぼ1:1と考えられています。しかし、腎結石にはシュウ酸カルシウム、膀胱結石にはストルバイトの比率が多いとされています。

その他に見られる成分としては尿酸アンモニウム、シスチン、シリカ、リン酸カルシウムなどが挙げられ、複数の成分からなる混合結石の存在も認められています。

原因

犬の尿路結石では、尿路感染と密接な関係があると考えられています。例えば、ストルバイト結石は、細菌感染そのものが結石形成の直接的原因となることが知られています。

また、無菌的に形成された全ての結石でも、結石が尿路に存在することにより尿路感染症を引き起こすこと明らかとなっています。

そのため、尿路結石と尿路感染症が併発している状況は比較的多くみられます。

犬種により好発する結石が知られており、ダルメシアンやヨークシャーテリアの尿酸アンモニウム、ミニチュアシュナウザーのシュウ酸カルシウム、イングリッシュブルドックのシスチンなどが挙げられます。これは、結石になりやすい先天的な代謝異常や基礎疾患が原因だと、考えられています。

そして、尿路感染症、門脈体循環シャント、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などの病気と結石との関連性が知られています。

尿路結石の症状

尿路結石では、結石による局所の刺激で発生する痛み、血尿、尿路閉塞などに起因する臨床症状がみられます。

膀胱結石や尿道結石では排尿痛、血尿、排尿困難などの排尿異常がみられます。

膀胱結石と尿道結石の症状
排尿痛、血尿、排尿困難

一方、腎結石や尿管結石では、片側だけの結石では腹痛や血尿以外に目立った症状がみられないことがあります。しかし両側になると、重度の腎機能障害を引き起こすことが多いです。

腎結石と尿管結石の症状
片側では腹痛や血尿、両側になると腎機能障害

尿路結石の重症度に大きく関与するのは腎臓であり、尿路閉塞による腎臓実質への内側からの圧迫(水腎症)や、尿路結石と併発する細菌感染による腎臓実質の炎症(腎盂腎炎)などの合併症が考えられます。

膀胱結石の診断と治療

診断

尿路結石の診断は、尿路における結石の存在を確認することと、それに関連したなんらかの臨床症状を明らかにすることです。何も臨床症状を示さない犬に、偶発的に結石が見つかるという場合もあります。しかし、実は気がつかないところで、症状を示している可能性も考慮して注意深く観察してあげなければなりません。

診断のポイント
尿路における結石の存在と関連する臨床症状

尿路結石の存在確認のためにレントゲンや超音波検査などの画像検査は、必ず行うべき検査です。そして、尿路結石に関連した病態をより明らかにするために、尿検査や血液検査を行います。尿検査では、尿路系の感染や炎症および出血、さらには形成された結石に関連した情報が得られます。血液検査では、腎機能に関連した重症度の評価、結石形成を引き起こす基礎疾患の評価、そして全身状態の評価などが可能です。

必要に応じて、尿路造影によるレントゲン検査により、腎臓の尿産生状態を確認することもあります。

治療

結石の存在が臨床症状を引き起こしているなら、結石を体外に除去する外科的治療が原則となってきます。しかし、結石の種類によっては、内科的に溶解することが可能であるため、内科的治療を優先することも考慮します。ただし条件として、結石が尿路閉塞を起こしておらず、全身状態も悪化していない場合に限ります。内科的治療が可能な結石としては、ストルバイト結石、尿酸アンモニウム結石、シスチン結石が知られています。

内科的治療に反応しなかった場合、結石の種類が不明である場合、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなど内科的治療が不可能な成分であることが分かっている場合には、外科的治療が適応となります。

治療のポイント
溶解可能な結石:ストルバイト結石、尿酸アンモニウム結石、シスチン結石
溶解不可能な結石:シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム

ストルバイト結石の内科的治療

ストルバイト結石を疑う場面として、アルカリ性尿、尿路感染症、尿検査でのストルバイト結晶、結石がレントゲンで確認できる(X線不透過性)ことが挙げられます。また、過去にストルバイト結石の罹患歴があることなども根拠となります。

結石の溶解は、食事療法と抗菌薬を併用していきます。

食事療法は、リンやマグネシウムを制限し、尿のpHを弱酸性に保持し、尿の産生を増加させることを目的としています。

抗菌薬は、ウレアーゼ産生菌による尿路感染症を抑え、尿中アンモニア濃度を減少させアルカリ化傾向を抑制することを目的としています。

予後

重度な腎不全が継続する場合を除けば、結石の外科的治療による除去を行えば、予後は良好なことが多いです。

しかし、その後に適切な予防措置がとられなければ、多くの場合は再発することとなります。

結石の種類が明らかになっている場合には、その結石に推奨されている食事療法やお薬の投与を実施することが望ましいです。また、全ての種類の結石に対して、水分摂取量を増加させることで、尿の希釈と排尿量増加を促すことが有効な予防効果であると考えられています。

予後のポイント
再発防止として療法食やお薬、そして水分摂取量の増加が大切

まとめ

犬の尿路結石について解説しました。結石の治療は、基本的には外科的治療となりますが、結石の種類によっては内科的治療が可能な場合もあります。

治療も大切ですが、療法食やお薬、そして水分摂取量の増加などの再発予防策も重要となってきます。

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