犬の円板状エリテマーデス(DLE)

人の円板状エリテマーデスは、日光露出部である頭部、顔面、四肢などに好発する原因不明の皮膚疾患であり、鱗屑(角質が肥厚して剥離したもの)を伴う紅斑(皮膚表面の発赤)を特徴とする病気であるとされています。

同様に紫外線との関連が指摘されている、犬の円板状エリテマーデスについて解説します。

レクタングル大

犬の円板状エリテマーデス(DLE)

エリテマトーデスは、英語で「lupus erythematosus」と言いますが、「lupus」とはラテン語で狼の意味であり、皮膚の症状が狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることから、こう名付けられています。

人や犬では皮膚を含む全身の臓器に症状が出る全身性エリテマトーデス(SLE)と皮膚に症状が限局する皮膚型エリテマトーデス(CLE)とに分類されます。

さらに皮膚型エリテマトーデスは、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターにおける剥奪性皮膚エリテマトーデス(ECEL)、コリーおよびシェットランド・シープドックにおける水疱性皮膚エリテマトーデス(VCLE)、円板状エリテマトーデス(DLE)に分類されます。

円板状エリテマーデスは、全身性エリテマトーデスの良性の亜型(本来の型から派生して出来たもの)と考えられ、犬でよくみられる疾患です。また、コリーノーズや鼻日光皮膚炎と同義語であるとされています。

円板状エリテマーデス
全身性エリテマトーデスの良性の亜型と考えられている

原因

紫外線や犬種がこの病気の危険因子と考えられており、夏や日差しの強い季節により多く発症することが知られています。明らかな年齢差や性差は無いとされています。

ラフコリー、ジャーマンシェパード、シェットランドシープドック、シベリアンハスキー、ブリタニースパニエル、ジャーマンショートヘアードポインター、オーストラリアの牧羊犬が好発犬種とされています。

円板状エリテマーデスの症状

多くの場合、「鼻平面」に病変が局在します。鼻平面とは、鼻の背側で最も先端の毛の無い部分を指します。頻度は少ないですが、口唇、口腔、眼周囲、耳介、生殖器、そしてまれですが四肢の遠位部位に病変がみられることがあります。

初期に色素脱失が起こり、通常黒色の皮膚が灰色や白色に変化します。初期の色素脱失が現れると鼻平面表面が正常の敷石状から滑らかな光沢のある外観に変化していきます。鱗屑(角質が肥厚して剥離したもの)や痂皮(かさぶた)は鼻平面と毛のある場所との境界部にみられることがあります。

前述のとおり、鼻以外の部位にも発生がみられますが、その場合には痂皮、びらん、潰瘍がみられます。

痒みや痛みの程度は様々であるとされています。

円板状エリテマトーデスでは、犬は皮膚病以外は、元気や食欲などの全身状態には問題の無いことが特徴です。

症状のポイント
多くの場合「鼻平面」に病変が局在する

円板状エリテマーデスの診断

鼻の形態の変化や全身状態に問題がなく、鼻の特徴的な病変(紅斑、びらん、潰瘍)を伴う色素脱失は一般に診断的な特徴であると考えられています。

病理組織学的検査を実施するために皮膚の一部を切除する「皮膚生検」を行うことが、最も標準的な診断方法だとされています。なお人では、生検組織の蛍光抗体直接法により、基底膜に免疫グロブリンの線状沈着が確認されます(ループスバンドテスト陽性)。

同様の症状を示す病気として、細菌感染(膿皮症)、免疫介在性疾患(全身性エリテマトーデス落葉状天疱瘡紅斑性天疱瘡、薬疹、ブドウ膜皮膚症候群)、白斑(色素細胞が減少・消失する病気)、腫瘍(扁平上皮癌、上皮向性リンパ腫)、外傷、皮膚糸状菌症、コリー種の皮膚筋炎があります。

診断のポイント
臨床症状と皮膚生検

円板状エリテマトーデスの治療

一般的な治療としてグルココルチコイド(ステロイド)外用薬による治療が行われます。最初は病変は消失するまで(約4~6週間)、ベタメタゾンやフルオロシノロンなどの強力な作用を持つ外用薬を使用し、その後維持療法として使用回数を減らしたり作用の弱いものに変更していきます。強力な作用のグルココルチコイド(ステロイド)外用薬を使い続けることにより、塗布した部位の永久的な脱毛および皮膚の萎縮がみられることがありますので注意が必要です。

グルココルチコイド(ステロイド)外用薬の代わりに、0.1%タクロリムス軟膏あるいは1~2%シクロスポリン液を塗布する方法もあります。

またテトラサイクリンとニコチン酸アミドの組み合わせによる治療も有効であるとされています。

軽症例〜中症例では、脂肪酸やビタミンEによる全身療法も有効であり、中症例〜重症例では、グルココルチコイド(ステロイド)を内服します。

日光を避け紫外線による鼻の病変の悪化を防ぐため、サンスクリーン(日焼け止め)を局所に用います。なお、二酸化チタン含有製品の有効性が報告されています。

治療のポイント
グルココルチコイド(ステロイド)外用薬による治療と紫外線対策

予後

予後は良いですが、長期の治療が必要となります。永久的な瘢痕(傷跡)や白斑、まれに扁平上皮癌などの後遺症が考えられます。

まとめ

犬の円板状エリテマーデスについて解説しました。この病気では、強い紫外線を避けることや、日焼け止めを使用するなどの日常生活に配慮することが大切です。

もし鼻の変形を伴うようであれば、鼻部アスペルギルス症などの鼻内部の異常の可能性があるので注意が必要です。

レクタングル大
レクタングル大

▼記事が気に入ったらシェアをお願いします

▼よろしければフォローをお願いします
この記事をお届けした
わんらぶの最新ニュース情報を、
いいねしてチェックしよう!