犬のリンパ性白血病

人で「血液のがん」と呼ばれる白血病という病気がありますが、同様の病態が犬にも存在します。

白血病は大きく「骨髄性白血病」と「リンパ性白血病」に分かれますが、犬のリンパ性白血病について解説します。

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リンパ性白血病とは

骨髄は骨の中に存在する組織で、あらゆる血球系細胞(赤血球、白血球、血小板のもとになる巨核球など)に分化できる造血幹細胞が存在します。

造血幹細胞とは
骨髄に存在し、あらゆる血球系細胞(赤血球、白血球、血小板のもとになる巨核球など)に分化できる細胞
造血幹細胞は各種の血球系細胞へ分化し、成熟した細胞として血液中に放出されます。そして分化の過程は大きく分けて、白血球の一種であるリンパ球をつくる「リンパ系」と、それ以外の白血球、赤血球、血小板をつくる「骨髄系」の2つがあります。
リンパ系の過程の細胞が腫瘍化したものを「リンパ性白血病」、骨髄系の過程の細胞が腫瘍化したものを「骨髄性白血病」と呼びます。
骨髄性白血病とは
リンパ系の過程の細胞が腫瘍化したもの
腫瘍化した骨髄内の腫瘍細胞(白血病細胞)は、徐々に増殖し骨髄を占拠していきます。そうすると、正常な血球系細胞が減少し、貧血、好中球減少、血小板減少などがみられるようになります。
骨髄性白血病は、病気の進行のパターンから「急性リンパ芽急性白血病(ALL)」と「慢性リンパ球性白血病(CLL)」に大別されます。

原因

一般的に腫瘍は、遺伝子や染色体に傷がつくことで発症すると考えられていますが、そのしくみは完全には解明されていません。
急性リンパ芽急性白血病では、リンパ芽球および前リンパ球の増殖がみられます。そして、慢性リンパ球性白血病では、成熟リンパ球の増殖がみられます。

骨髄性白血病の症状

急性リンパ芽球性白血病と慢性リンパ性白血病で、症状が異なります。

急性リンパ芽球性白血病

特徴的な症状が出ることは少なく、元気消失、食欲不振、体重減少などがみられます。
また、腫瘍細胞が骨髄を占拠することによる赤血球減少、好中球減少、血小板減少にともない、貧血、免疫力低下による感染症、出血が抑制できない出血傾向などが起こる可能性があります。
犬の急性白血病のうち、45%が急性リンパ芽球性白血病であったとする報告があります。
犬の急性リンパ芽球性白血病は、B細胞や大顆粒リンパ球由来の細胞であることが多いとされており、「高カルシウム血症」がこの腫瘍に伴ってみられることが多いです。

慢性リンパ性白血病

無症状のことが多いとされています。しかし病気の進行にともない、急性リンパ芽球性白血病と同様の症状がみられるようになります。
また、リンパ節の肥大がみられることが多いとされています。
犬の慢性リンパ性白血病は、T細胞由来が73%、B細胞が25%であったとされています。また、腫瘍に伴う症状として、血液の粘稠性が増加する「過粘稠症候群」という病態や、高グロブリン血症の中でも1種類の免疫グロブリンを産生する「モノクローナルガンモパチー」がみられることがあります。
症状のポイント
元気消失、食欲不振、体重減少などと、貧血、免疫力低下による感染症、出血が抑制できない出血傾向など。慢性リンパ性白血病では、無症状のこともある。

リンパ球性白血病の診断と治療

診断

血液検査で、急性リンパ芽球性白血病ではリンパ芽球および前リンパ球の増殖が、慢性リンパ性白血病では成熟リンパ球の増殖がみられます。
そして確定診断は、骨髄検査になります。
 急性リンパ芽球性白血病ではリンパ腫のステージ5との、慢性リンパ性白血病では炎症性腸炎や胆管肝炎などの慢性的な炎症などとの鑑別が重要となってきます。
診断のポイント
リンパ系の細胞の増殖と骨髄検査

治療

急性リンパ芽球性白血病の治療は、抗がん剤による化学療法を行います。
慢性リンパ性白血病では、何らかの臨床症状または60,000/μℓを超えるリンパ球増加がみられる場合に、治療が推奨されています。
治療のポイント
急性リンパ芽球性白血病では、抗がん剤による化学療法
慢性リンパ性白血病では、臨床症状とリンパ球数により判断

予後

急性リンパ芽球性白血病は、抗がん剤による化学療法に対して効果がみられる割合は30~50%であるとされ、平均生存期間は2~4ヶ月であるとされています。
慢性リンパ性白血病は、ゆっくり進行する病気であり、1~3年の生存期間が予想されています。しかし、リンパ腫や急性リンパ芽球性白血病に転換した場合には、予後は悪くなります。

まとめ

犬のリンパ性白血病について解説しました。急性リンパ芽球性白血病と慢性リンパ性白血病では、病気の進行のパターンが大きく異なるため、注意が必要です。
 急性リンパ芽球性白血病で、抗がん剤による化学療法が選択肢とならない場合に、グルココルチコイド(ステロイド)により症状が緩和する可能性があるとされています。
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