犬のジアルジア症を丁寧に解説

この記事では、犬のジアルジア症について原因、症状、診断そして治療を、現役獣医師が解説しています。

対象読者
  • 動物病院でジアルジア症と診断されたor疑われている犬の飼い主
  • 長期間続く下痢でお悩みの犬の飼い主
  • 犬のジアルジア症について知りたい獣医学生や動物看護師

最後まで読むだけで、ジアルジア症について誰にでもすぐに理解できるように作成しているので、是非一度目を通していただけると嬉しいです。

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ジアルジア症とは

ジアルジア症は、ジアルジア(Giardia lamblia)という原虫の感染によって引き起こされる病気です。

ジアルジアは、人やほとんどの飼育動物に感染するとされています。特に、若齢の動物での感染が目立ちます。

犬とヒトに共通のジアルジアが、存在している可能性が示されています。つまり、犬にジアルジアが感染した場合には、ヒトにも感染する可能性があるので注意が必要です。

ジアルジアは、下痢の原因となります。しかし、感染があっても症状を示さない場合もあります。

原因

ジアルジア症は、ジアルジア(Giardia lamblia)の感染が原因です。ジアルジアは、鞭毛虫類の原虫です。

特に、以下の場合に感染する危険性が高いです。

  • 免疫力が弱い犬
  • 若齢の犬
  • 多頭飼育の犬

ジアルジアは、栄養型虫体抵抗型(シスト)と呼ばれる2つの虫体発育ステージがあります。下痢便中には栄養型虫体が、正常便中には抵抗型(シスト)が多く排泄されます。

感染は、抵抗型(シスト)が口に入ることで成立します。なお、栄養型虫体は外界では数時間で死滅するとされています。

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ジアルジア症の症状

ジアルジア症は、下痢が主な症状です。急性の下痢の場合もあれば、間欠的または慢性の下痢となる場合もあります。

下痢が継続することで、体重減少がみられることがあります。さらに、嘔吐、発熱、食欲不振がみられる場合もあります。

しかしながら、ジアルジアが感染している場合でも、多くは症状を示さないとされています。

ジアルジア症の診断

診断は、糞便検査で可能です。

下痢便中には栄養型虫体が多く現れれるので、通常の糞便検査にて検出が可能です。しかし、正常な便中に排泄される抵抗型(シスト)は、特殊な検査法での検出が必要となります。

糞便中のジアルジア抗原を証明するための、検査キット(ELISAキット)が存在します。

ジアルジア症の治療

治療は、駆虫薬の投与です。

ジアルジアの駆虫として、以下の製剤が用いられます。

  • メトロニダゾール(商品名:フラジールなど)
  • フェバンテル(商品名:ドロンタールプラス)
▲ジアルジア駆虫薬の一例 (出典元:バイエル薬品HP

被毛に付着した糞便や、湿潤性の冷たい環境に存在する抵抗型(シスト)による再感染が心配されます。

ジアルジアの消毒

抵抗型(シスト)は熱と乾燥に弱いので、熱湯による消毒が可能です。再感染防止のため、感染した犬の周辺環境の充分な清拭と乾燥を行います。

予後

適切な治療で軽快します。

まとめ

犬のジアルジア症について解説しました。特に若い犬で下痢がみられた場合には、この病気に注意が必要です。

また、人に感染する可能性や再感染の恐れがあるので、動物病院で環境汚染への対策について教えてもらうと良いでしょう。