犬のマダニ症

春から秋の季節にかけて気をつけなければいけないものに、フィラリア症やノミやマダニといった寄生虫があります。

人と犬との共通感染症を媒介することもある、犬のマダニ症について解説します。

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マダニ症とは

マダニはクモ綱ダニ目マダニ亜目マダニ科に属し、吸血前はおよそ3~4mmくらいの大きさで、昆虫では無くクモやサソリに近い仲間です。マダニは、畳やカーペットの中に住むダニとは別の生き物です。マダニはハーラー器官と呼ばれる感覚器を持ち、これらによって哺乳類から発せられる二酸化炭素の匂いや体温、体臭、物理的振動などに反応して、草の上などから生物の上に飛び降り吸血行為を行います。

マダニの唯一の栄養源は、動物の血液です。幼ダニ・若ダニは発育・脱皮のため、成ダニは産卵のために吸血を行います。

マダニの吸血は蚊のように刺すのではなく、皮膚に噛みついて宿主と連結して吸血します。吸血場所を定めると、まず顎体部の鋏角と呼ばれる部位で皮膚を切り裂き、口下片と呼ばれる部位を突き刺して吸血を開始します。そしてこの口下片には棘があるため、犬などの宿主の皮膚から脱落しにくくなっているます。さらにマダニの唾液成分にはセメント物質が含まれ、接着剤のように口部を固定し、吸血の間、マダニはしっかりと犬に付着することが可能となっています。

吸血中のマダニは犬の血液を体内に取り込んで濃縮し、水分を唾液として犬の体内に吐き戻します。このマダニの唾液には吸血を容易にするための抗凝固物質が含まれるだけでなく、抗炎症物質、免疫抑制物質も含まれており、マダニが宿主からのダメージを受けることなく吸血するのに役立っているそうです。

マダニ症の症状

このためマダニの吸血時間は極めて長く、雌成虫の場合は6~10日に達します。そして、この間に約1mlに及ぶ大量の血液を吸血することができ、大きさは約1cm前後に大きく膨れ上がります。

マダニの吸血行動による、貧血やマダニ唾液蛋白質に対するアレルギー反応がみられます。またマダニは、犬にバベシア症という致死性の病気を媒介します。さらに、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気も媒介し、その重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が「犬から人」へ感染することも明らかとなりました。

関連記事マダニ感染症の「犬から人」への感染を詳しく解説

マダニ症の診断

診断は犬の体表に付着するマダニをみつけることです。吸血した成ダニは小豆程度の大きさであり、比較的容易にみつけることができますが、飽血若ダニは米粒程度、飽血幼ダニはゴマ粒程度であり、みつけるのが困難な場合もあります。

日本では犬猫共に、「フタトゲチマダニ」の寄生が最も多いです。

なおマダニの種類(オーストラリアのIxodes holocyclusなど)によっては、神経性毒物を唾液中に含むものもあり、ダニ麻痺を発症する場合もあります。

マダニ症の治療

マダニを見つけた場合、少数であれば物理的に除去するのが一般的です。

例えば、体表に付着前のマダニであれば手指でも簡単に取り除くことができます。また、付着して早期であれば、先の細いピンセットなどでマダニの先端部を挟んで引き抜くことが重要です。場合によっては、皮膚の小切開が必要になることもあります。胴体部を強く引っ張ると、顎体部が皮膚内に残ってしまい、皮膚炎を続発することがあるので注意が必要です。

しかしマダニがある程度吸血を行い、肉眼的に容易に観察されるようになった場合には、口下片がしっかりと犬の皮膚に挿入された状態であり、手指による物理的な除去が困難な場合があります。このような場合には、殺マダニ薬を用いた駆除を実施します。

予防

散歩などから帰ってきた時に、ブラッシングを行いマダニの付着の有無を確認すると良いでしょう。早期に発見することで、除去が容易でマダニ媒介伝染病のリスクも小さくなります。例えば、犬のバベシア症では、吸血開始後48時間以降に急激に感染リスクが高まるとされています。

またマダニの活動が活発な時期に、マダニの生息密度が高い場所へ入らないことも大切な予防です。

そして近年、様々なタイプのマダニ駆除薬が開発されているので、予防を行うことがとても重要です。

ノミとマダニの予防方法について

従来はフィラリア駆虫とノミ・マダニ予防は別で行われていましたが、近年一つの製品で両方可能な商品が販売されるようになってきました。

スポットタイプ

成分名:フィプロニル

商品名:フロントライン、フィプロスポット、マイフリーガード

成分名:イミダクロプリド

商品名:フォートレオン、アドボケート(フィラリア予防も可)

経口タイプ

成分名:フルララネル

商品名:ブラベクト

関連記事新しいノミ・マダニ予防薬「ブラベクト錠」

成分名:アフォキソラネル

商品名:ネクスガード、ネクスガードスペクトラ(フィラリア予防も可)

成分名:スピノサド

商品名:コンフォティス、パノラミス(フィラリア予防も可)

まとめ

犬のマダニ症について解説しました。マダニの種類や生息域は地域によって大きく異なるため、動物病院で獣医さんに聞いてみましょう。

ノミやマダニの活動は、周囲の気温に影響され13度以下では活動できないと言われています。そのため、ノミやマダニの予防期間は、「気温が13度になったら始めて、13度を下回ったら止める」というのが基本となっております。

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